事業開発見習い日記

東京でBDやってる人の日記

BD組織の種類とスタートアップが気をつけること

Actually, Founders Should Engage Corporate Development | Andreessen Horowitz

Andreessen Horowitzのブログからの抜粋。大企業のBusiness Developmentの組織の位置づけには2つあるらしい。

  1. Executionだけの場合(エンタープライズ系の企業に多い)
  2. Strategyも持つ場合(コンシューマ系の企業に多い)

1番目のタイプでは、事業部が主導になってディールが行われる。事業部の部長/本部長が「あの企業と何かやれないか」「やる目的はXXだ」と言うのを受けて、BD組織がディールを実行する。既存事業の強化が目的であることが多い。

2番目のタイプでは、BD部門が主導になって、戦略を書いた上で、ディールを実行する。主に事業ポートフォリオの観点から、足りていない機能を獲得するなど、非連続的な成長を、事業とは独立に考える。コンシューマインターネットはほぼ全部これだ。

2番目のタイプでは、必ずしもコア事業の強化ではないため、どのような会社を買いに行くのかは外からは予測が難しい。

 

そして、大企業のBD部門が、(買収でなく)戦略投資を行う場合には、下記の4つのシナリオが多いそうだ。

  1. They have negotiated or have line-of-sight to a commercial deal, and would like to make an investment to fully realize the benefit of that deal.(戦略提携がセットになり、投資はその戦略提携を実現するために行うと考えられている。)

  2.  They want the startup to work on their platform or in their ecosystem. (自社の経済圏に引き入れたいと思っている。)

  3. The technology or space is highly relevant to them, so they would like to use strategic investment as a path to acquisition. (非常に近い領域で投資する。そして買収の足がかりとして使いたいと考えている。)

  4. They are after purely financial returns.(純粋なファイナンシャルリターンは二の次としている。)

そのうえで、対象となるベンチャーにはこう警告している。

Implications for startups:

We typically advise our founders to avoid scenarios #3 and #4, because it can complicate M&A processes. Or, it can lead to an uncomfortable situation if your investor decides instead to compete with you!
#3と#4は避けたほうがよい。M&Aのプロセスが複雑になる上に、のちのち翻って競合化する恐れがあり、ビジネスが危険な状況に陥る可能性がある。

Startups should be fine with reasons #1 and #2, however, because a partner with “skin in the game” as an investor is more motivated and has aligned interests. (A strategic investor that appears on your cap table, but nowhere in your business, is harder to explain — and it’s something you will be asked by subsequent investors, whether financial or strategic.)
#1と#2は、問題ないはずだ。戦略投資は、提携に関してコミットメントを明らかにしているだけで一貫している。(逆に、株主リストに事業会社がいるのに何も提携していないのは説明が難しい。後のラウンドで投資家に質問されるだろう) 

いずれにしろ、変な組み方さえしなければ、スタートアップが大企業のBDと会話をしても、特段害をなすことはないと書かれている。少なくとも、通常の提携の窓口にもなりうるし、中長期的な関係を持つ上では必要なことだろう、ということだ。