事業開発見習い日記

東京でBDやってる人の日記

Last Mover Advantage

 “First mover isn’t what’s important — it’s the last mover. Like Microsoft was the last operating system, and Google was the last search engine.” - Peter Thiel 

http://pando.com/2012/04/19/peter-thiel-on-the-last-mover-advantage/

Peter Thielが3年くらい前に"Last Mover Advantage"という概念の話をしている。普通競争戦略で学ぶのはFirst Mover Advantage(先行者利益)だが、ITの世界ではLast Moverが勝っているというのだ。そういう理由は下記にある。

The trick however, is to enter the market late enough so as to not be crushed by future competitors, but not so late that the market is already closed off to new entries. A balancing act that is easier to perceive in retrospect, but is something that startups must keep in mind when considering what market to enter, and when to enter.

つまり、「将来の模倣者が現れて負けるほど早く入りすぎず」、かといって「すでに参入しても勝ち目がないくらい遅くない」状態で入り、勝ち切るというものである。勝ち切ったらWinner Takes Allになるため、Last Mover Advantageだというわけだ。

いろいろな話に展開できそうだが、ここでは2点だけ言及しておこう。

 

ひとつは、Lastと言われるのは結果であること。先行する競合の試行錯誤をすべて学習している。ただ学習しきって、勝ち方がわかった時にはすでに遅すぎる状態に入っており、結局そばにいながら最速で追いかける準備はできている必要がある。かつ、より筋をとらえたプロダクトを適切なタイミングで出せなければならない。

決済におけるApple Payは非常にそれに近い。paypass, payWave, Google Wallet, ISIS, Squareの現状を見た上で、最適なタイミングで出せていると思われる。Last Moverになる可能性を秘めている。

 

もう一つは、最近のFundingトレンドがそれに近くなっていると感じること。タクシー配車におけるUberの巨額のファンディングは、ともすれば後続する競合のLyft等を殲滅するための資金であるとも考えられる。つまり、後続を谷に突き落として、Last Moverの地位を確立するための資金だということだ。こうできていれば、ただのタクシー配車の先にある、物流のマーケットや、自動運転車によるタクシー業界のディスラプトなど、ネクストステップにある領域で優位な地位を"享受"できる。

このとき、少なくとも地理的に遠いと、あるカテゴリーのLast Moverを狙うのは難しいと思う。中国で発展したサービスならなら中国国内で上記のことが起こる。西海岸なら西海岸で起こる。

インターネットによって情報の共有は早くなったといえども、結局はインフォーマルなネットワークで進むことが多いと思う。基本的にインターネットに乗るのはずいぶん後になってからというのが実際のところだ。